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アメリカでの移転価格税制 (Transfer pricing)その一 [税務]

日本でも大企業を中心に「移転価格税制」に基づく追徴課税に関して訴訟も起こっていますが、当然アメリカ企業もIRSから移転価格税制に関して調査を受けるリスクは高まっています。

移転価格税制概要に関しては、こちらを御覧ください。
http://www.tax.tohmatsu.co.jp/recruit/tp/work/abouttp.html 

要はグループ間取引に関してのプライシング(値付け)は、外部の第三者との取引価格を基準に(「独立企業間価格 /arm's length price」と呼ばれる)設定しなさいよ。もし正当な「独立企業間価格」で取引しておらず税金を過少申告していた場合は、「独立企業間価格」で取引したと仮定し税金を追徴します。(場合によっては、ペナルティ+利息)ということです。

では会社としてはどうすればよいかというと、グループ間取引に関してのプライシングが「独立企業間価格」を基準に正当に設定されているということを、同時文書化と言って税務申告の際にコンサルタント(会計士)に大金を払って大量の資料作成してもらい、将来の税務調査に備えるわけです。
繰り返しますが、アメリカでは移転価格同時文書化は法定義務で決められています。

以下で説明するように、この移転価格のペナルティはめちゃくちゃ厳しいですが(移転価格税制に限らずアメリカ政府の巨額のペナルティビジネスはどうかしてます。)、正しい方法で同時文書化を行い、調査の際にIRSの要求にきちんと対応すればペナルティはありません。※但し、移転価格が適用され過少申告とみなされ金額が更生されればその分の追徴課税は発生。

ペナルティとしては以下2つの種類が有り、いずれかの条件に合致すればペナルティを課されます。
1. 取引ペナルティー(transactional penalty)
2. 正味調整ペナルティー(Net-adjustment penalty)


ペナルティ20%のケース

1.関連会社間取引価格が適正とされる「独立企業間価格」の50%以下(主に輸出取引、安く売りすぎているケース)もしくは200%以上(主に輸入取引、高く仕入れているケース)

2.該当課税年度の更生金額(net Section 482 adjustment )が、$5 millionもしくは売上の10%のどちらか少ない金額を超えたケース


ペナルティ40%のケース

1.関連会社間取引価格が適正とされる「独立企業間価格」の25%以下(主に輸出取引、異常に安く売りすぎているケース)もしくは400%以上(主に輸入取引、異常に高く仕入れているケース)
※まあこれは無茶苦茶なプライシングなので、現実的ではないですが、、

2.該当課税年度の更生金額(net Section 482 adjustment )が、$20 millionもしくは売上の20%のどちらか少ない金額を超えたケース

ペナルティ無しのケース※あくまでCan be avoided

1. Section 482の移転価格算定法に準拠しており、かつ

2. その中で最も正確に独立企業間価格を算定する方法を取られた文書を適切に保管し、IRSの文書の要求に30日以内に対応すること



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