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チャージ・レート(賃率)の落とし穴 [管理会計]

製造現場の方たちも必死に原価低減活動を行っており、その努力にはいつも頭が下がります。ただ管理部門から正しい数値や考え方を伝えてあげないと努力が実らない。というケースがあります。

例:
製造マネージャーのジョナサンは、加工費が増えてきていることを懸念しており、マシン改善により作業時間を減らす事で加工費を下げるアイデアを思いつきました。

結果的に5時間の作業時間の改善が見込み、意気揚々と損益を見るのを楽しみにしていたのですが、結果は加工費が先月より上がっているという驚愕の事態に。
何が起こったのでしょうか?


期間 作業時間 チャージレート 加工費
7月実績 200時間 $50 $10,000
8月予想 195時間 $50 $9,750
8月実績 195時間 $53.85 $10,500


ジョナサンは8月は5時間の作業時間の改善で、250ドルの加工費削減をできると予想していたのですが、チャージ・レート(賃率)の事を考えていませんでした。

チャージ・レート(賃率)=総加工費/総作業時間

いくらマシンの改善で稼働時間が短くなっても、以下のように人件費や電気代が変わらずさらにマシンへの投資で減価償却費が増加したため、賃率が上がってしまったのでした。

人件費 減価償却費 電気代 加工費合計 総作業時間 チャージレート/1hr
7月実績 $5,000 $4,500 $500 $10,000 200 $50.00
8月実績 $5,000 $5,000 $500 $10,500 195 $53.85



何が言いたいかと言うと、現場の努力を結果に結びつけるために管理部門(経理財務)が、この改善が最終的に損益にどう影響するかを現場と共に考え、アドバイスする必要があるということが一点。
製造現場の方々はチャージ・レート(賃率)等の概念には精通しておらず、あくまで生産性やマシンの性能に目が行きがちです。またそれは専門性や役割的にしかたない部分もあります。
そのため、いかに経理財務が現場と密にコミュニケーションや連携を取り、最終的な原価の改善につなげていくかということが非常に重要になってくると思います。

もう一つは、固定費を管理することの重要性です。
固定費を征するものは原価を征す。とまでは言わないですが、企業の規模が大きくなり自動化が進んでいくと固定費の割合が非常に大きくなっていきます。
適正な投資と日々の固定費の削減が製造業では非常に大きなテーマになっています。



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