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棚卸資産評価-LCM(低価法) [財務会計]

USGAAP では棚卸資産の評価は、LCM(Lower of Cost or Market :低価法)で行う。
どのテキストにも載っているメジャーな会計処理なのですが、抽象的な概念でわかりづらいです。

私も計算方法はUSCPAの試験の時に暗記していたのですが、いざ実務になるとどう処理すればいいのか分からなかった経験があるので、実務に落としこんで解説します。

簡単に言うと棚卸資産の評価としては、
【原則】
The lower of:
*Cost(原価); or
*Market(再調達価格※Replacement cost)
ということで原価か再調達価格のいずれか低い方を使いなさいと言っています。

【付帯条件】
※但しMarket(再調達価格)の金額はその時点の再調達価格を基準とし、上限と下限を設定します。
上限(Upper limitもしくはceiling)---- Net Realizable Value(売価から売上に必要な経費【輸送費等】を差し引いた金額:言い換えると販売市場の実現可能な価値)
下限(Lower limitもしくはfloor) ---- Net Realizable Value マイナス normal profit margin(通常の利益)

①再調達価格>Upper limitの場合、Upper limitをMarket(再調達価格)とする。
②再調達価格<Lower limitの場合、Lower limitをMarket(再調達価格)とする。
③再調達価格が上限と下限の間の場合は、そのまま再調達価格を用いる。

うーん、、方法はわかりますが、考え方がわかりづらいですよね(苦笑)

考え方としては保守主義の原則からも、
【原則】
原価と時価(再調達価格:直近で入手できる金額)のどちらか低い方で棚卸資産を評価しましょう。

【付帯条件】
①上限の考え方は、再調達価格(言い換えると購入市場の時価)が販売市場で実現可能な価値より高ければNRV(販売市場の実現可能な価値)を上限とする。※要は原価割れしているので、実現可能な価値(安い方)を上限にしましょう。ということ

②下限は、再調達価格が下がっていたとしても、通常はNRVも同様に下がっており、例え利益(マージン)が出ない程度に価値が下がっていても(NRVマイナス通常利益)その値が下限だろう。という理屈です。
別の言い方をすると、一時的に再調達価格が大きく下がっている場合、下限が無く在庫評価減してしまうと今期大きなロスがでて、翌期に通常のマージンで売れれば評価減で原価が下がっている分異常に利益が出てしまいます。これでは利益の認識のタイミングがずれるので下限を設けましょう。ということです。


まだうまく説明できているとは思えないので、理屈はまた別の機会に説明します。

実務としては、原価は調整前の帳簿上の原価を使います。
再調達価格は原材料や外部から購入の半製品等は直近の仕入値なのですぐにわかると思います。自社で作る製品は直近の原価を使えばいいと思います。
Net Realizable Valueを求める際に、売上にかかる費用(輸送梱包費等)を算出するのは手間だと思いますが、一度作っておけば繰り返し利用できます。

最初はデータ収集等に手間取りますが、LCMの実務の計算はエクセルと非常に相性が良いのでSum-if関数等の条件式を入れれば簡単に計算できるようになると思います。

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固定資産(資本的支出と収益的支出) [財務会計]

固定資産に関して製造現場と議論になることも多く、購入後の改良/メンテナンス/修理に関して簡単に説明しておきたいと思います。

固定資産を購入後大きく分けて二種類の支出が発生します。

1. Capital expenditure(資本的支出)
2. Revenue expenditure(収益的支出)

Capital expenditure(資本的支出)とは、耐用年数を伸ばしたり、性能を向上させるようなコストの事を言います。例えば、車で言うとエンジンを改造して最高時速が185キロから200キロに上がったとか、シャフトを交換したので耐用年数が15年から20年に延びた。というような種類の支出になります。
よって仕訳としては費用科目ではなく、

Dr. Equipment
Cr. Cash

のような感じになります。


逆にRevenue expenditure(収益的支出)とは、現状を維持するためのメンテナンスや修繕で、例えばエンジンオイルの交換とかフロントガラスのひび割れの修繕とか結果として車の価値を上げる事のない費用です。(摩耗や毀損による価値が下がった分を修繕して元の価値に戻しただけ。)

仕訳は当然費用科目を使い

Dr. Repair cost
Cr. Cash

のような形になります。

製造現場からは経費予算や利益予算が厳しい時に、大きな修繕が発生すると「これは耐用年数を伸ばしたから、固定資産に計上して!」と言われたりすのですが、こちらとしては会計上もそうですが、税法的にも無駄な固定資産税は払いたくないので、本当にそれはCapital expenditure(資本的支出)なのかと延々と議論することがあります。


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グループ間での売掛金/買掛金のReconciliation とネッティング(相殺) [財務会計]

日本の会社でも子会社管理や連結決算を担当されている方はご存知かと思いますが、
グループ会社間での売り買いが発生する場合、月に一度売掛金/買掛金のReconciliation を行います。

これは双方が仕入/売上計上の金額や時期に差異がないか、未検収のインボイスが無いかを突き合わせを行う事で、グループ会社間での債権、債務の残高を一致させる事ができます。

また特に海外子会社間で共に売り買いが発生している場合は、双方から別々に送金をすると送金手数料が二重にかかるので、売掛金と買掛金のネッティング(相殺)を行います。※国によっては難しいケースもあるようです。

このネッティングは、レコンシリエーションで照合のとれた互いの売掛金と買掛金の金額を帳簿上相殺し、売掛金の残高が残った会社にもう一方の会社から送金を行います。
月一回の送金手数料の削減だと大した金額では無いのですが、重要なのはお互いの認識をすり合わせる機会をきちんと持つことだと思います。なんだか男女関係と似てますね。


Bank Reconciliation Statement(銀行勘定調整表) [財務会計]

アメリカでは月末毎にBank Reconciliation Statement(銀行勘定調整表)を発行します。
これは以下の理由により帳簿残高と銀行残高が一致しないことがあり、その確認のために作成を行うのです。

1. Outstanding Check(未取付/未渡小切手)----振り出した小切手が受取人により銀行に持ち込まれておらず、現金が引き落とされていない分

2. Deposit in Transit(未達小切手)----銀行に客先から振り出された小切手を入金したが、銀行が処理する時間がかかり、翌日以降に銀行残高に反映される分

3. 純粋なError(ミス)、数字の記載間違い($76を$79と記入ミス等。自分の記帳ミスだけではなく銀行がミスする場合もあります。)

特にOutstanding Check(未取付/未渡小切手)は毎月どの小切手が滞留しているのかを注意深く確認する必要があります。というのも以前にお話した未請求資産(Unclaimed property)の申告はこのOutstanding Check(未取付/未渡小切手)がベースになってくるからです。

2ヶ月以上取り付けがない小切手には受取人に直接理由を確認し、紛失等の場合は小切手を再発行をしてあげ、できるだけ長期滞留のOutstanding Checkを作らないようにしましょう。

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